インタビュー

「サッポロビール」の友好企業向け、
飲食店支援システム開発事例

サッポロビール株式会社 DX推進部長 大谷 光弘様、株式会社CORIN 中村(代表)、谷(マネージャー)、内田(フロントエンドエンジニア)、鈴木(デザイナー) 写真中央:サッポロビール株式会社 DX推進部長 大谷 光弘様
写真右から:株式会社CORIN 中村(代表)、谷(マネージャー)、内田(フロントエンドエンジニア)、鈴木(デザイナー)

「黒ラベル」「YEBISU」などのビールブランドで知られる大手酒類メーカーのサッポロビール株式会社。同社ではサッポロビールをお客さまに提供する飲食店へのサポートに力を入れており、商品の販売以外にも経営支援やメニュー作成の提案、そして集客支援まで手掛けています。

こうした飲食店サポートの一環として、同社の友好企業を飲食店へ送客する仕組みである「友好企業様向け 飲食店ご案内サイト EAT&COUPON」を企画し、弊社がシステム開発を担当いたしました。お取り組みの背景にあった課題や比較検討で重視されたポイント、そしてシステムのリリースによって想定される成果について、ご担当者さまにお伺いしました。

お取り組みの背景

まとまった人数を、飲食店さんに送客する仕組みを構築したかった

サッポロビール株式会社 DX推進部長 大谷 光弘様 DX推進部長 大谷 光弘様
今回のお取り組みの背景には、どのような狙いがあるのでしょうか。
大谷光弘様(以下、敬称略):今回CORIN社にシステム開発を依頼した「EAT&COUPON 友好企業様向けコミュニティシステム」は、弊社とさまざまな形でお付き合いがある友好企業の社員の方々を、弊社独自のクーポンやキャンペーンを弊社の商品を提供している飲食店さんに送客することを目的としています。約500社の友好企業様と飲食店さん、どちらにもメリットがある仕組みなのですが、弊社としては飲食店さんに寄り添った施策として企画しました。

飲食店様にとっての酒類メーカーの役割には、単にアルコール飲料の商品を開発、販売するだけでなく、経営の相談に乗ったり、メニューの相談に乗ったりと、幅広い営業活動が求められます。加えて、多くのお客さんを飲食店様に送客できることは、営業活動にとっては、非常に強力な武器になります。

しかし、まとまったお客さんを飲食店さんに送客すること、そしてそれを仕組み化するのは難しいことでした。以前は弊社の現場のセールスや窓口が、弊社の商品を卸している飲食店さんをご紹介することが主流でしたが、あくまでも散発的なもので、安定的に送客できる仕組みとは言えません。

そこで友好企業様向けの専用サイトで飲食店さんの魅力をお伝えし、専用クーポンなどで、友好企業様の社員を誘因することにより、飲食店さんと弊社の関係値を深めることが、本施策の狙いになります。

また、飲食店を紹介に関する現場のセールスや窓口への問い合わせをシステムに置き換えることも、狙いのひとつでした。

パートナー企業の比較検討

従来の開発フローとは違う、開発の柔軟性を求めていた

パートナー企業を選定する上でどのような要素を重視していましたか。
大谷:弊社には現在、キャンペーンやイベント用の特設Webサイトが多数あるのですが、決まったパートナー企業さんにすべて開発をお願いするのではなく、施策の目的や特設Webサイトの特徴、そしてタイミングなどでさまざまな企業とお取り組みしてきました。

そのさまざまな取り組みの中で感じていたのが、従来型の開発フローと体制の企業さんと弊社は相性がよくないのではないか、という点です。従来型の開発フローと体制というのはつまり、発注時に要件をがっちり定義し、開発スタッフもがっちりアサインし、そしてすごく丁寧に開発を進めていく、大手ITベンダーさんのようなイメージです。

こうした開発フローと体制における問題とは、開発を進めていく中で出てきたアイデアの追加や、環境の変化による修正などの融通が利かないことにあります。最近は「アジャイル」というキーワードをよく耳にするようになりましたが、開発においてもアジャイルな要素を求めるようになりました。

レスポンスの早さ、開発力の高さ、インハウスの開発体制が決め手に

サッポロビール株式会社 DX推進部長 大谷 光弘様
パートナー企業として、弊社を選定いただいた決め手をお聞かせください。
大谷:初回打ち合わせ時の中村社長のレスポンスがとても早く、私たちの要望に対する解決策の提示が的確だったことが一番の決め手です。「この人の会社に任せれば、要望に沿ったシステムをスケジュール通りに納品いただけるだろう」と直感的に思えました。

決め手の2つ目には、開発力の高さが挙げられます。ある機能をシステム上に実装したかったのですが、別の開発会社さんからは「Cookieを使わないと難しい」との回答でした。さまざまなブラウザでCookie規制が進む昨今のトレンドには沿わないなと感じ、どうにかできないかと悩んでいたところ、中村社長からは「Cookieを使わずとも開発できますよ」と即答いただけたのです。そのレスポンスの早さだけでなく、外部システムとの連携手法を含め、具体的にどのような技術で開発するか説明いただけたので、納得することができました。

加えて、外注頼みではなく、自社スタッフによる開発体制であることが3つ目の決め手です。社内に十分な開発リソースをお持ちのため、私たちの要望がスピーディに直接反映されるだろうと感じました。外注自体は決して悪いことではありませんが、どうしてもこちらからの要望は伝言ゲームで伝えられるため、こちらの意図からズレていったり、コミュニケーションに時間がかかったりといったデメリットが生じます。

レスポンスの早さ、開発力の高さ、自社スタッフによる開発体制の3つの要素が決め手となり、CORIN社との取り組みを決定しています。

要件定義と開発の流れ

開発期間はおよそ4ヶ月。
toC案件を得意とするメンバーを中心にアサイン

システム開発は、どのようなスケジュールで開発が進められましたか。
大谷:2023年11月から正式に開発がスタートし、システムを納品いただいたのが2024年2月頃でしたので、およそ4ヶ月の開発期間でした。思っていたよりもスピーディな開発スピードで、特にコアな部分のシステム開発には2ヶ月程度しかかかっていません。

開発期間のコミュニケーションはタスク管理ツールを用いていたことも、案件が円滑に進む要因だったと思います。また、案件全体を統括していたマネージャーの谷さんによるプロジェクト管理がすごくしっかりしていたことが印象的です。弊社側の宿題についてもリマインドしていただいたおかげで、緩むことなく進行できました。
谷(弊社マネージャー) 谷(弊社マネージャー)

谷:弊社からはエンジニアとデザイナーを含め合計6名が本プロジェクトに参加しており、私がプロジェクト全体の進捗を管理しました。また、弊社側の窓口としてもやり取りさせていただきました。実際のコミュニケーションでは、社内で使用している技術的な専門用語をそのままお伝えするのではなく、なるべく噛み砕いてイメージしていただきやすいように心がけています。

内田(弊社フロントエンドエンジニア) 内田(弊社フロントエンドエンジニア)

内田:私はフロントエンド側のコーディングを担当しました。システム画面上に表示される部分の開発を担当し、バックエンド側との連携作業を行なっています。今後の運用を考え、分かりやすく使いやすい管理画面になるよう工夫しました。

鈴木(弊社デザイナー) 鈴木(弊社デザイナー)

鈴木:本プロジェクトにはデザイナーとして参画しました。今回ご相談いただいたシステムは友好企業に勤めている社員の方々が、お客さまとの会食や社内懇親会などに利用するお店を探し、予約するシーンにご利用いただく想定だったため、「このお店を予約したい!」と感じていただけるような飲食店の魅力が伝わるデザインを意識しました。

たとえば、画像ではなく動画がお店の紹介ページのトップに表示されたり、リストではなくパネル画面からお店を選べるようにしたりと、ユーザー目線でデザインしています。

中村(弊社代表) 中村(弊社代表)

中村:今回ご依頼いただいた「友好企業様向け 飲食店ご案内サイト EAT&COUPON」は、企業向けのtoBサービスではありますが、利用シーンはレストラン、居酒屋の予約サイトと同じtoC寄りです。そのため、toC案件に強みがある、実績があるメンバーを中心にアサインさせていただきました。

お取り組みの成果と評価

狙うは1店舗あたり100名の送客。閑散期の飲食店を集客面で支援

2024年7月に、友好企業様へリリースされる予定ですが、どのような成果を期待していますか。
大谷:8〜9月に予定しているキャンペーンでは、「友好企業様向け 飲食店ご案内サイト EAT&COUPON」を活用し、東京駅周辺にオフィスを置く企業に対して、近隣エリアにある人気の個人店、10〜15店舗をご紹介していく予定です。2023年の年末年始に同じような趣旨のキャンペーンをテスト運用で実施した際には、7店舗に合計で400名を送客することに成功しましたので、次は1店舗あたり100名の送客を狙いたいですね。

実はオフィス街の飲食店にとって、企業の夏休み期間に重なる8月は最も集客が難しい、いわば閑散期なのです。この閑散期に飲食店さんを集客面でご支援することができれば、飲食店さんと弊社の関係値を深めるという当初の狙いを実現することができます。また、私たちのキャンペーンでは、一部ドリンクなどのご支援はいただきますが、手数料などはいただきませんので、飲食店さんにとっては、メリットが高く高評価いただけるものと期待します。

その他にも、ヱビスビール発祥の地である恵比寿では、もっと大きな規模でのキャンペーンを実施していく予定です。

お取り組みの総括と、今後の展望

デジタルで可視化されたデータを活用し、飲食店さんに貢献していきたい

今後の展望をお聞かせください。
大谷:これまで企業主催のパーティーや会合でのお付き合いしかなかった友好企業や、属人的なつながりに頼っていた友好企業とも、デジタルの力を活用することで持続的な関係を築いていきたいですね。

また、デジタルによって可視化されたデータを活用することで、大事なお客さまに提供できること、飲食店さんに貢献できることを考え、今回CORIN社に構築いただいた「友好企業様向け 飲食店ご案内サイト EAT&COUPON」のような、具体的な施策につなげていきたいと考えています。
CORIN社のサービスは、どのような企業におすすめできそうでしょうか。
大谷:弊社のようにシステム開発をどこに依頼したらよいのか、依頼するにはどのように伝えたらよいのか、ふと悩んで立ち止まってしまう企業はきっと少なくないはずです。そうした悩みを抱える企業には、CORIN社は最適だと思います。分からないことや悩みをぶつけてみれば、きっと的確な提案が返ってくるはずです。